日本を代表する強打者として日本の実ならず、世界からも注目されている村上宗隆選手。
しかし、2017年のドラフト会議では注目はされていたものの、その年の甲子園のスターである清宮幸太郎が
主役になり、村上宗隆は「外れ1位」とされてしまいました。
当時の事情を知る関係者曰く、「そうするしかななかった」といった空気がそうさせたというニュアンスの言葉が聞こえてきました。
また、「村上のほうが上だった」とスカウトの間で噂する人も多くいるといいます。
現在の村上宗隆と清宮幸太郎の実力差は誰が見ても明らかですが、2017年のドラフト会議では何があったのか、
当時の2人の評価と大人の事情を紹介していきます。
村上宗隆がドラフトで清宮幸太郎と競合しなかった理由は?
2017年のドラフト会議では、早稲田実業の清宮幸太郎を7球団がこぞって1指名をし、
日本ハムが交渉権を獲得しました。
出展元:Number
清宮幸太郎を逸したヤクルト、巨人、楽天の3球団が、「繰り上げ1位」で九州学院の村上宗隆を指名し、
ヤクルトが抽選で村上宗隆を引き当てました。
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現在の実力差を見ると、2017年当時のスカウトの見る目に隙があったのではないかと考えてしまいそうですが、
話はそんなに簡単ではなく世間の空気に支配された球団の事情があったようです。
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理由①【スカウトの建前】
あの年は、スカウトが清宮を熱心に推していたというより、球団が熱心になっていた。
父親もラグビーで有名、甲子園のスター、早稲田実業。
人気が欲しかったんだろう。
複数のスカウトの方からこの様な声が聞こえてきたそうです。
現場と会議室の温度の違いといいますか、世間の空気が清宮幸太郎を1位指名に各球団を駆り立てたのは明らかです。
高校通算111本はすごかったけどライトに偏っている打球を打つことに疑問をもっていたスカウトもいたそうです。
高校生1年生の春からレギュラーなら、真ん中内よりのおいしい球なら
パワーがあるからあれぐらのホームラン数になといった声も。
出展元:Number
村上宗隆のように、球団の看板となりNPBを盛り上げてくれ選手を探すとなると、
スカウトも真剣に選手獲得のために日々、沢山の選手を見て研究しているはずなので、
事情を踏まえたうえで、広く公には清宮幸太郎の評価ができなかったのでしょう。
ではどうして、7球団が清宮幸太郎を1位指名でいったのでしょうか?
理由②【スカウトの本音】
清宮が取れなくても、村上と安田に指名ができるから、
球団と争ってまで、村上や安田にいかなくても、黙っていれば、清宮は外れる
スカウトの仕事は「人」を見る事、それは選手だけではなく球団内部との心理戦にも影響してくるのでしょう。
そして、清宮幸太郎を外したヤクルト、巨人、楽天は九州学院の村上宗隆
ロッテ、阪神、巨人は履正社の安田尚憲を指名しました。
6球団とも村上宗隆、安田尚憲以外に繰り上げ1位を求めた球団はありませんでした。
スカウトが評価した村上宗隆の才能は?
当時のスカウトは村上宗隆の才能にはいち早く気が付いていて、目をつけていました。
高校生離れしていた能力を紹介していきます。
出展元:九州学院
才能①【広角にホームランが打てる】
左のスラッガーならタイプなら、センターからライト方向の打球が多くなります。
しかし、九州学院坂井宏安前監督の話では、村上宗隆の打球は「3割、3割、4割」レフトから順に打てるとのこと。
逆方向に打てるのは本当に力がある証拠で、筒香嘉智(バッファロー)に通ずるものがあるといいます。
才能②【自制心がある】
強打者になるとだいたい勝負されず外角中心に投げられカウント2ボールになり、
3ボール、3ボール1ストライクになってフォアボールになります。
ドラフト候補になると目立ちたいから、少々のボールでも振ってしまうが、
村上宗隆は3ボールでも振らないとのことです。
ボールを見極められる我慢強さがあるといいます。
才能③【統率心がある】
目配り、気配り、声掛けといった当時の守っていたキャッチャーを務めたことにより、
ゲームの司令塔としての統率心が他の高校生とは違ったといいます。
坂井宏安前監督曰く、そのためにキャッチャーというポジションを途中から任せたといいます。
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村上宗隆と同期の2017年ドラフトの1位指名を紹介
出展元:ベースボール
アマチュア時代の評判や実績とプロ入り後の成績が一致しないことはよくあり、
2017年はその傾向が顕著にあったといいます。
2017年ドラフトは甲子園でBIG4(早稲田実業・清宮幸太郎、履正社・安田尚憲、九州学院・村上宗隆、広陵・中村奨成)が騒がれていました。
2017年の各球団1位指名選手
清宮康幸太郎を外し、阪神とソフトバンクと競合し、履正社の安田尚憲を指名
中村奨成を外してヤマハの右腕・鈴木博志を指名
西武と競合してJR東日本の左腕・田嶋大樹を指名
清宮幸太郎、村上宗隆を外して中央大の右腕・鍬原拓也を指名
清宮幸太郎、村上宗隆を外して岡山商科大の右腕・近藤弘樹を指名
2017年のドラフトで唯一抽選にならず、立命館ダ大の左腕・東克樹を指名
田嶋大樹を外して明治大の左腕・齊藤対大将を指名
清宮幸太郎、安田尚憲を外してソフトバンクと競合して仙台大の右腕・馬場皐を指名
清宮幸太郎、安田尚憲、馬場皐を外し鶴岡東高の右腕・吉住晴斗を指名
広陵高・中村奨成を指名
冒頭でもお伝えした通り、現在大活躍している選手やケガや故障で戦線を離脱している選手がいますが、
毎年12名しか選ばれない狭き門なので、自信をもって活躍していってほしいと思います。
村上宗隆とヤクルトの縁
出展元:スポニチ
最終的に村上宗隆はヤクルトに入団するわけですが、入団から今シーズンの活躍はいろいろな要素が入り混じっている事がうかがい知れます。
50人くらいの指名候補リストの順位付けして何度もシュミレーションをしたといいます。
プロ野球の監督でアマチュア時代の村上宗隆を見ていたのは、SD時代の小川淳司元監督だけだそうです。
清宮幸太郎がいた早稲田実業の対戦で、村上宗隆の打席の結果はあまり良くありませんでしたが、
坂井宏安元監督に「村上の良い面、悪い面を知っているのは12球団で小川さんだけ。安心してヤクルトに預けられる」と
話たそうです。
※小川淳司:2011年~2014年、2018年~2019年までヤクルトスの監督を務める。
※SD:一般に専務取締役を意味し企業の経営方針とその業務執行・監督
ヤクルトのスカウト曰く、この時期からドラフト1位に決めていいた様ですが、
世間の空気によって本音は隠されていました。
さらに、別のスカウトからは、
他の球団に入っても1軍に出れていたと思うが、ここまで活躍できたどうかは疑問との声も。
たとえば巨人に入ったとしても原辰徳監督は長距離砲の育成に意欲的ではなく、
今活躍している岡本和真も高橋由伸前監督が腹をくくって育てた選手。
楽天もベテランが中心のチームで生え抜の野手は伸び悩んでいます。
成功しても失敗しても、別の道があったのではないかと、考えてしまうのが世の常ではないでしょうか。
しかし、最後にこんな証言も、
九州のスカウトが、終始村上で絶対!
怪我はしない、へこたれない、清宮の2倍練習する。心身の強さが違う。
清宮の2倍練習する、あんなに練習する高校生はいない!
2017年のドラフト会議はいろいろな思惑が錯綜した年だったことがわかりました。
プロになればアマチュアと違った別の意味の難しさがあることでしょう。
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まとめ
今年のNPBは村上宗隆の話題で持ち切りですが、
2017年に1位で日本ハムに入団した清宮幸太郎も17本(2022年9月20日現在)のホームランを放ち
自身の最多本塁打を記録しています。
新卒で入団した2人はまだまだ発展途上の逸材です。これからの更なる活躍を期待しています。
今年は村上宗隆の弟の村上慶太もドラフト候補に名を連ねるのか楽しみです。

